思考ナビゲートリスト

ダメ人間の他愛もない思考リスト

Shadows Die Twice...

ただ今七周目である。さらなる苦難に足を踏み入れ鐘鬼もまた隻腕の忍び、"隻狼"の身に降りかかる。しかしそれでも私と狼は主人である九郎さまの奪還。そしてそこに流れる竜胤の血ーー人を不死へと変貌させるーーを断つために、"隻腕の忍"は血なまぐさい戦国時代の国、"葦名"を駆け巡る…

これが、「SEKIRO:Shadows Die Twice」のあらすじである。(ちなみにShadows die twiceは仮の名前だったが、発表当時の強い反響から、サブタイトルに入れたと語られている。このワードは後述するあるシステムのことを表しているようにわたしは思う)

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今作は所謂「ダークソウル」や「ブラッドボーン」で有名なジャンルである、死にゲー。ソウルライクとも呼ばれる。そして開発はソウルボーンシリーズの生みの親、フロムソフトウェア。何度倒れても怒りと好奇心で立ち向かえる、それがフロムソフトウェアが打ち出したゲームだった。私自身、初めてフロムのゲームに触れたのは最近のことで、たまたま目に付いたブラッドボーンを買ったところからだ。(ゆえにフロムのゲームはメタルウルフカオスとブラッドボーンしかやっていない。あしからず)

不穏でどこか狂った世界観。驚きに満ちたマップ構成とボス。そして事後ガードとも言われるリゲインシステムなど、ブラッドボーンで私が受けた衝撃は枚挙に暇がない。(メタルウルフカオスについてはネタが多すぎてレッツパーリィ!!するので割愛する)

そしてそのまま最新作であるこの隻狼を買ったのだった。

……ブラッドボーンと全然ちゃうやーん。

f:id:Navi_suke:20191020205237j:imageそんなデカデカと出さなくても…(泣)

まず特筆すべきはその戦闘システム。ソウルシリーズと思って挑めばたちまちクソゲー認定されてしまうことだろう。アマゾンレビューではソウルシリーズの方が良かった!これはクソ!などというのがよく見られた。私的にはブラッドボーンと比べて、この隻狼は辛く、楽しく、新しかった。ブラッドボーンは身軽なステップで敵の攻撃を避けて懐へ潜り込み攻撃を加えるわけだが、隻狼は違う。敵の攻撃をジャストガードで"弾く"ことが最適解とされている。そのため、敵にはHPゲージの他に体幹ゲージなるものが設定されており、攻撃を当てること、敵の攻撃を弾くことで体幹が溜まっていく。そして最大まで溜まると相手は体勢を崩す、そして我が狼はその隙を逃さずに致命の一撃"忍殺"を喰らわせる。どれだけ敵にHPが残っていようと関係ない。一発である。また、通常攻撃と溜め攻撃の他に、左手の義手に仕込まれた忍具(斧、槍、なんなら火炎放射だって出来る)や様々な特殊攻撃を放てる流派技などがある。上手いプレイヤーは忍具、流派技をうまく利用して、美しさすら感じる戦闘を演じている。一番効率が良い訳ではない。だが効率ばかりを追い求めるのがゲームではあるまい。

f:id:Navi_suke:20191020182658j:image弾く!

f:id:Navi_suke:20191020182724j:image爆竹!!

f:id:Navi_suke:20191020182457j:image見切って踏む!

そして前述したとおり、我らが主人公、“隻狼"は忍びである。それはつまりいちいち侍のようにやあやあ出ていき戦う必要がないということである。落ち着いて敵の出方を観察し、必要とあらば自分からアクションを起こして敵の頭数を減らす(こう言ってはいるが、ステルスはかなり大味である)そして少なくなった敵に一気に畳み掛け制圧する。これは死にゲー。一対多人数などまず負ける。忍びらしく泥臭く闇討ちをしていこう。卑怯とは言うまいな。

 

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ボスにも闇討ちを仕掛けられる。

 

何度も繰り返すが、死にゲーである。無論私のように何周もしていれば敵の行動はわかるが初見ではそうもいかずあっさりと死んでしまうことだろう。(嘘だ、何周もしてても数の暴力に敗北する事が多々ある。あとはたまに起こる糞カメラワーク。許さんぞ)しかーし!そんなあなたに朗報です。このゲーム、文字通り"Shadows Die Twice"します。なんならTwiceじゃなくてThree timesかもね。

 


狼よ…我が血と共に生きてくれ…

 


回生システムである。隻狼さん、主である九郎さま(男の子である。可愛いけど男の子だ)の血が体に流れており、一度死んでも復活する事ができる。その場で。無論体力は半分からであり、一度死んで回生すると、次の死は本当の死となってしまう。(場合によっては最大二回回生可能だが)死んでしまうと経験値と所持金が半分となってしまう。だが死ぬことは失うばかりではない。それは貴重な経験としてプレーヤーそのものの経験値となる。過去の死は、弔うばかりではなく、この先の未来のために。

 

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必殺 死んだふり

 

無論ボスだっている。正直このゲームで最も楽しいモノの一つだ。どいつもこいつも強いのばかりだ!なんせ時は戦国、国取り戦の葦名衆、内府軍、あやかしが隻狼の行手を阻む。中ボスも大ボスも一回の忍殺では死なない。中ボスは闇討ちによって体力を減らせるものの、大ボスは真っ向からの戦いだ。場合によっては50回は余裕で死ぬだろう。だが死ぬたびに敵の攻撃を覚え、弾き、見切り、踏む。おそらくここを一つでも乗り越える事が出来たなら、隻狼は素晴らしいゲーム体験をあなたに与えてくれるだろう。ちなみに、ラスボスはその全てを総動員しなければならない。弾き、避け、踏み、見切り、雷を返す。最高のラスボスだと私は思う。

 

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これはライバル。津田健次郎さんが演じる。

 

長々と駄文を書いてきたがこれにて総括。

「ダークソウルとそれに似たゲームしか作れない」

「さっさとアーマード・コアの新作出せ」

などと言われているフロムだが、この隻狼はソウルライクだろと揶揄されながらも、それをさらに魅力的な物へと進化させた。宮崎英高ディレクターを筆頭とするスタッフに惜しみない賛辞を送りたい。ここでは詳しく語らなかったが、キャラクターやアイテムのデザイン、ステージの美しさも随一で、北村友香氏の音楽もゲームにマッチした素晴らしい物だった。

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荒削りな所はあるものの、私にとって至高の作品、隻狼。

折れない心があるならば、ぜひ左腕を切り落とされてみてはいかがだろうか。